スーパーシェルパのフロントフォーク オーバーホール
表題の通り、フロントフォークをオーバーホールしたのでログとして。来たる夏季休暇に備えてゴールデンウィークのうちに気になるフロントフォークを整備しておく。
1. 交換部品と道具を揃える
1-1. 主要な交換部品
交換部品の一覧 サービスマニュアルから抜粋
- サークリップ(リテーリングリング)[A]:
44044015
x 2 - ダストシール[B]:
920931439
x 2 - オイルシール[C]:
920491470
x 2 - インナガイドブッシュ[D]:
440181058
x 2 - アウタガイドブッシュ[E]:
920281656
x 2 - ボトムアレンボルトガスケット[F]:
110091325
x 2
1-2. その他道具類
- フォークオイル G10(純正である必要は無い) :
J44091-0002
- 中強度ネジロック剤(サービスマニュアルでは強度の指定無し)
- オイルシールプッシャー(シェルパのインナーチューブ外径はφ36)
- メスシリンダー(無くてもいいけどあると少し便利)
- フォークオイルレベルゲージ・油面調整用ツール
- フロントフォークシリンダ固定用特殊工具・スピンドルツール(シェルパは22mmなので汎用の四角い固定具は使えない)
- エクステンションバー(最低でも50cmくらいは必要、締め付けトルクを測りたいのでエクステンションつなぎ合わせたく無い)
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この手のジャッキがあれば色々と捗ったなあと今更思っている。
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1-3. ついでに交換するといい部品
- トッププラグのOリング:
920551051
x 2 - フォークボトムアレンボルト(上の画像Fのガスケットのボルト):
44041040
x 2
2. 作業手順
2-1. 台に乗せて前輪を浮かす
純正のジャッキ( 57001-1238
)は3万円を越すのでビールケースで代用。Youtubeの動画を参考になんとか乗せることに成功。
反省点. 1
ビールケースに長時間バイクを載せるような時はベニヤ板など適当な天板を用意して負荷を分散させるべきだった。負荷のかかる部分がピンポイントなので沈み込んでしまい、本来平面では接地にならないはずの部位にも負荷がかかる可能性もある。またケースが壊れることもある。
反省点. 2
ケースに載せる前にエンジンオイルを抜くべきだった。ケースに乗せてから沈み込んだ関係でエンジンオイルがたくさん溢れた。ケースに乗せた後も位置を微調整するため前後に大きく揺すったせいもある。
バイクをビールケースに載せる際に参考にした動画
2-2. フロントフォークを外す
- ブレーキキャリパとホースホルダを外してキャリパの間に木の板をかませる(養生テープでホースに負荷がかからないよう固定)
- タイヤを外す
- スピードセンサーとワイヤーホルダを外す(養生テープでワイヤーに負荷がかからないよう固定)
- ハンドルとヘッドライトユニットを外す(外さなくてもいいけど外した方が作業性がいいと思う)
- フォークボトムアレンボルトを緩める
- 上フォーククランプボルトを緩める
- フロントフォークのトッププラグ(19mm)を緩める
- 下フォーククランプボルトを緩める
- 自由になったインナーフォークをぐるぐる回しながら下に引き抜く
- フォークブーツを外す(プラスドライバーでネジを外してから)
※ 画像ではタンクも外しているのはシリンダーヘッドのボルト増し締めのため。フロントフォークのオーバーホールでは不要な作業。
2-3. フロントフォークの分解と清掃
オイル漬けの部品を置けるよう汚れてもいい場所を確保する。レジャーシートの上に緩衝材の紙を敷き詰めた。
- トッププラグ外す。このときワッシャがバネの張力で飛ばされないように気をつける
- 適当な容器にオイルを出す
- フォークスプリングを取り出してオイルを切る。スプリングの使用限度は555mm
- フォークボトムアレンボルトを外す
4−1. アレンボルトに六角レンチ、フォークシリンダにスピンドルツール+エクステンションを差し込んだ状態
4-2. アレンボルトを上に立てて、エクステンション側を足で固定してアレンボルトを外した
4-3. 分解後 - サークリップを外す。インナーチューブをキズ付けないよう気をつける
- インナーチューブを引き抜く。アウタチューブから抜けるまで強く引き抜いて分離する。アウターチューブからシリンダーベースが出てくる。インナーチューブからシリンダーも取り出す。
6-1. 引き抜いた状態。 ※ 画像ではシリンダーベースの向きが逆になっている。本来はテーパー側(細い方)からシリンダーユニットにはめ込まれる。 - ダストシール・オイルシール・ワッシャ・アウタガイドブッシュをインナーチューブから外す
7-1. ※ ワッシャは片面にRがついている、Rの側がオイルシール側
7−2. オイルシールとダストシールは張り付いている場合がある - インナガイドブッシュを外す。↑の画像のインナーチューブ先端の部品。1.5mmくらい隙間があるので広げて外す。意外と簡単に広がる。
- パーツクリーナーなどで全体清掃する。小石のようなものがいくつかコロコロ出て来た。インナーチューブの先端には穴がいくつか空いているのでしっかり清掃する。
2-4. フロントフォークの組み付け
ターニングポイントを超えた。部品交換をして組み付けていく。基本的には分解と逆の作業になる。
- インナーチューブにインナガイドブッシュを取り付ける
- シリンダーを入れたインナーチューブにシリンダーベースをはめこみ、水平に置いたアウターチューブに差し込む
- ネジロック剤を付けない状態でアレンボルトと新品のアレンボルトガスケットを軽く仮止めする
- アウタガイトブッシュの合い口が車体の左右に向くよう気をつけながら、オイルシールプッシャーを使ってインナーチューブに打ち込む
4-1. このとき古いガイドブッシュで上げ底して奥まで打ち込む。打ち込み切ると音と感触が変わる
4−2. ※ 古いガイドブッシュ2個乗せた図 - ワッシャーのR面が上になるように組み付ける
- オイルシールの内側にフォークオイルを塗り、ビニール袋をかぶせたインナーチューブに通し、古いオイルシールを噛ませてオイルシールプッシャーで奥まで打ち込む
6−1. ※ ビニールはこんなに長くない方がいい - ダストシールを組み付け、サークリップをはめ込む。サークリップがはまらない場合はダストシールかオイルシールかガイドブッシュの打ち込むが足りないので適宜やり直す
- ネジロック剤を付けたアレンボルトを29Nmで本締めする
- フォークブーツを取り付けたフロントフォークを車体に取り付けて、下側クランプボルトを仮締めする
- フロントフォークにフォークオイルを360ml程度(吸い取る前提で少し多めに)入れてから、音が静かになるまで繰り返し伸縮させる。分解清掃・乾燥時は規定量347±4ml、非分解時は295mlが目安
- スピードメーターとタイヤを取り付け、適当な台でフロントフォークを完全に圧縮させてしばらく待つ。フロントブレーキパッドの簡単な分解清掃や組み付けで時間を潰す
- フォークオイルレベルゲージを150±2mmにセットして余分なオイルを吸い出す
- フォークスプリングを入れ、スプリングシートワッシャーを乗せて、トッププラグを締め付けトルクは22Nmで取り付ける。スプリングシートワッシャーとトッププラグのOリングはフォークオイルを塗っておく。
- クランプボルトを締め付けトルク21Nmで本締めする
- フロントフォークの清掃手順は以上、作業に問題が無いか、フロントブレーキの効きも確認する
- ヘッドライトやタンクなど取り外した部品を戻して完了
参考URL